【BitPRインタビュー】 Beam CEO Alexander Zaidelson / CMO Beni Issembert @Token2049

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BitPRチームはBeamのCEO Alexander Zaidelson(アレクサンダー・ザイデルソン)とCMO Beni Issembert(ベニ・イッセンバート)に香港で開催されたToken 2049でインタビューしました!Beamの日本戦略、ビットコインとのAtomic Swap(アトミック・スワップ)などについて語ってもらいました。

BEAMとMiblewimblemの概要

Beamは2019年の1月にローンチした、Mimblewimbleプロトコルを実装した、高い情報機密性を備えた暗号通貨です。他のプライバシー通貨が、完全な匿名性を強調するのに対して、Beamの目標は高い機密性を確保したトランザクションを、一般の利用者と事業者に提供し、さらに利用者が規制に準拠できるようにオプトインの可監査性を提供することです。

Mimblewimbleについては、こちらの記事、もしくはCircleリサーチによる詳細なレポートをご覧ください。Mimblewimbleを端的に説明すると「機密性の高いトランザクションを大規模で可能にするブロックチェーンプロトコル」と表現できるかもしれません。詳細はこちらの記事では割愛させていただきますが、Mimblewimbleがスケーラブルなまま、情報の機密性を確保するのは次の要素によるものです:

  • 最小限のデータ:Mimblewimbleではコンフィデンシャル・トランザクションの技術とペダーセン・コミットメントを応用することで、取引数量、保有残高、送受信者を識別するための情報がブロックチェーンに保存されません。UTXOとコインベース・トランザクション(新しく採掘されたコインに紐づく)のみがブロックチェーン上に保存されます。そして、すべてのトランザクションがデフォルトでプライバシー設定です。
  • トランザクションミキシング:ビットコインが採用する公開アドレスと秘密鍵によるトランザクションの生成とは異なり、Mimblewimbleでは、トランザクションの当事者が直接交信することでトランザクションを生成します。この過程で秘密鍵を明かす必要は当然ありません。さらに、Coinjoin の仕組みによって、多数のトランザクションを一つのに合算し、監視を試みる者がトランザクションにおける送受信者の対応関係を特定することを困難にします。
  • カット・スルー:はブロックチェーンに必要がないトランザクションデータを取り除きます。この技術は、ブロックチェーン上に保存するデータ量を削減し、同時に機密性の向上をもたらします。一般的にコンフィデンシャル・トランザクションのサイズは、通常のトランザクションより大きいですが、このカット・スルーがブロックチェーンサイズの肥大を抑制する効果を発揮しています。

これらの結果として、Mimblewimbleを採用するブロックチェーンはとても軽量で、利用者のプライバシーを高いレベルで保護します。

読者のみなさまの多くは、MoneroやZcashなどのプライバシー特化型通貨をご存知かと思います。Beamは新参者とも呼ぶべき新しい通貨ですが、これらのプライバシー通貨に対してBeamは3つの点で改善しています。

  • コンフィデンシャリティ(機密性):Beamのプライバシー設定はデフォルトで有効です。すべてのトランザクションが高い機密性を確保しています。 Beamはまた、トランザクションの起点(IPアドレス)が検出される可能性を大幅に減らす、新しいプロトコルであるDandelionを実装しています。 一方で、Zcashのプライバシー機能はデフォルトでは有効になっておらず、ほとんどの人が使用していません。
  • スケーラビリティ(拡張性):Beamのブロックチェーンのサイズは、トランザクションのデータをほとんど含まないため、非常に小さくなっています。Beamがビットコインの現在の利用レベルに達した際には、そのブロックチェーンのサイズはビットコインの30%になると推定されています。 Moneroは機密性を確保するために、各トランザクションに大きなデータを追加するため、ブロックチェーンが非常に大きくなり、将来的にユーザビリティが失われる可能性があります。
  • コンプライアンス(適法性):Beamは、会計士、監査人、税務当局が取引が完了したことを確認および監査できるようにするオプトインの可監査性能を実装しようと取り組んでいます。この機能の実現によって、より事業者に採用される可能性が高まります。 現在、MoneroとZcashではトランザクションの完全性を確認することはできません。

Beamは、これらの機能の組み合わせが広く受け入れられ、決済での利用、そして日常で使用されることを期待しています。

Beam CEO/CMOへのインタビュー

Beam CEO Alexander Zaidelson (右) and CMO Beni Issembert (左)

Beamは新しい戦略的パートナーであるリクルートと共にSlush TokyoとBlockchain Nightに参加しました。初めて訪れた日本の暗号通貨市場についてどう思いましたか?

Alexander Zaidelson(AZ):私は世界有数の暗号通貨市場である日本を直接自分の目で見れることに大変楽しみにしていました。日本は素晴らしい国であり、そこで人々がどのように暗号通貨を使っているかを知り、非常に学びがありました。私は、多くの店がビットコインでの支払いを受け入れていること、そして一部の家電量販店(ビックカメラ)が暗号通貨を受け入れていることに驚きました。私はまた暗号通貨取引が日本で人気な時間の使い方であると知りました。

また日本の規制当局はユーザーの安全を守ることに力を入れていて、そのためにユーザーが取引所でプライバシーコインを取引することを禁止していると知りました。日本における暗号通貨のポテンシャルは非常に大きいです。リクルートの助けを借りて、私たちはもっと日本の人達に気づきを与え、Beamについて説明し、そして最終的には規制当局に私たちの「コンプライアンスを重視したプライバシー」というビジョンが進むべき道であると確信させたいと思います。

Beni Issembert(BI):日本のコミュニティは私たちにとって最も重要なアセットの一つであり、時間とお金をかけて歩みを進めていきたいと考えています 。日本のコミュニティは暗号通貨とプライバシーのリテラシーについてとても先進的です。このコミュニテイの質の高さから、日本市場を戦略的な市場だと考えています。

Beamは、対ビットコインのアトミックスワップの実装に取り組んでいます。 Beamの取引所における流動生が少ない中、この取り組みはどのようにBeamのエコシステムに影響をもたらすのでしょうか?

AZ:Beamは確かに非常に新しく、そしてコインの供給量はまだ小さいです。それが流動性が低い理由のひとつです。しかし、私たちは取引所やOTCのパートナーから、流動性はそこまで悪くないと聞いています。買い手は買うことができ、売り手は売ることができています。取引量はそれほど大きくないのは、まだ大きな取引所に上場していないことと、そしてまた、また市場で取引できるコインがまだあまり多くないことが挙げられます。

アトミック・スワップが実装されれば、人々がBeamを手数料無く、且つ取引所に登録する事なく、ピアツーピアでトレードできるようになります。取引所は使いやすくなってきましたが、利用者は依然としてお金を第三者に託す事を恐れています。 アトミックスワップは、第三者が居なくても、2人の人の間でビットコインとBeamを交換できるようになります。取引に関わっているのは2人だけなので、アトミックスワップでは不正や詐欺が起こらないように利用者が保護されます。これで取引量が増え、人々がより簡単にBeamを買えるようになるでしょう。

モバイル決済はすぐに一般的になり、最近ではSamsung Galaxy S10が暗号通貨ウォレット機能を実装したことにより、モバイルでの暗号通貨決済普及の兆しが見えてきました。プライバシーコインを使用したモバイル決済の普及まであとどれくらいかかりそうですか?

AZ:世界最大の携帯電話メーカーであるサムソンとHTCは、どちらもブロックチェーン対応の携帯電話を提供しています。 HTC Exodusは素晴らしいプロジェクトです。私たちはこれらの携帯電話がどれだけの売上を生み出すかを目撃することになりますが、いずれにせよ、これは素晴らしい兆候であり、ただの策略で終わらないことを願っています。 SamsungとHTCの両方が関与している事を踏まえると、ブロックチェーン対応の携帯電話が市場に残ることを強く示唆しています。 Appleも同様にリリースするのを待ちましょう!

Beamもですが、プライバシーコインによるモバイル決済は間もなく利用可能になります。わずか10分前、Beniと私は、彼のAndroid版Beamウォレットから自分のiOS版Beamウォレットへのモバイルトランザクションを完了しました。ウォレットはまだテストネット対応のみであり、今から数週間後にリリースされる予定です。技術はすでにすごく使い勝手がよく、今年、みなさんが考えているよりもずっと早く提供できることを願っています。

デフォルトでのプライバシーとオプトインの可監査性能は、間違いなくBeamの重要な機能の一部です。私たちの知る限り、トランザクションの内容を証明するために、文書のハッシュをブロックチェーン上でトランザクションカーネルに保存できるようになると聞いています。監査人はどのようにこれらの情報を確認し、監査する事ができるようになるのでしょうか?

AZ:まず、これらの機能はまだコンセプト段階にあります。網羅的に詳細はありませんが、基本的な考え方として、これらの追加的なトランザクション情報はブロックチェーンに格納され、暗号化されます。

監査人は、特定の人物の取引を検索し、すべての文書のすべてのハッシュを確認し、承認を得てから、ブロックチェーン上ではなくオフライン/オンラインストレージのどこかで文書を読み、最終的な承認を与えることができる特別なキーを持ちます。監査人はこれらの書類が取引中に署名されたものと同じ文書であることについて確認と承認を行います。

これはハッシュによって証明されます。私が私の監査人に会うとき、私は私の取引履歴と関連する書類を見せることができます。監査人はすべてが正しいことを確認できます。

Project Lumini(Beamのブロックチェーンと他のブロックチェーンを接続)は、Beamの成長に明らかな影響を及ぼすのではないかと考えています。同時に、Bitcoinと同様に、Ethereumベースのアセットは強力なプライバシーを有していないため、Beamのコンフィデンシャル・アセットは有力なソリューションになるのではないかと考えています。 Project Luminiとコンフィデンシャル・アセットにはどのような用途があるとお考えですか?

AZ:Project LuminiではStable Unitという会社と協力しています。私たちは、Project Luminiの一部として、あるいは個別に、私たちの目標を達成するためのさまざまな選択肢を検討しています。基本的な構想は、EthereumとBeamの間で、資産をロックできるブリッジを構築することです。例えば、DAI (BitPR補足:MakerDAOが開発するアルゴリズム型のステーブルコイン) をイメージするとよいでしょう。(DAIを) Ethereum上でロックし、対応する量のコンフィデンシャル・アセットをBeamネットワーク上で発行するという仕組みです。新しいアセットで、Beam コインではなく、いわばBeam DAIと呼べるようなものです。

最終的な結果として、スマートコントラクトで、あらゆる種類のトークンをEthereum上でロックし、Beam上で対応するトークンを発行・割当します。人々は機密性を確保して取引することができ、Beamのネットワークから出すときには、Beam上でトークンをバーンし、 Ethereum上の対応するトークンがスマートコントラクトからリリースされます。

これはとても重要な機能です。なぜなら、債権、株式、さらには暗号通貨収集品(Crypto Kittiesのような)のような資産であっても、価値の移転には機密性が必要とされますし、誰もその保有量や取引内容を公にしたくはないからです。場合によってはコンプライアンスも必要になるかもしれません。この機密性とコンプライアンスの必要性から、Beam上にコンフィデンシャル・アセットのエコシステムを構築する必要があります。Luminiはこれを調査する最初のステップでした。

BeamがASIC耐性を持つことを計画していること、そして「フェアなコインの配布」を確実にするために、ハードフォークを計画していると聞きました。フェアな分配が重要だと思うのはなぜですか。 またBeamはこれに関して失敗した、または成功した他の暗号通貨から学びましたか?

AZ:私たちの考えは、初年度はBeamにASIC耐性を持たせ、十分な数のBeamコインを流通させつつ、プロジェクトがある程度大きな時価総額に達するまで、コインを成長させる時間を確保することです。

今のところ、供給されたコインの総数は約1000万枚ですが、年末までには5000万枚になるでしょう。全供給量の5分の1が初年度に供給されます。

私たちは、この供給ができるだけ民主的に分配されることを望みます。私たちは、依然として人々が自宅からマイニングすることを望み、まさに人々はそれを実行しています。計画では 2つのハードフォークをする予定です。 6月/ 7月に1回、12月にもう1回です。そして、これによってASICの製造メーカーに対して今はASICの製造を開始すべき時期ではないとシグナルを出しています。12月のタイミングではアルゴリズムが決定し、製造を開始する時期になるかもしれません。

ASICには高いロイヤリティ(忠誠心)を与えるという利点があります。 GPUを使ったマイニングをする人々は、非常に日和見主義的なことがあります。今、Beamは市場で悪くないシェアを得ています。人々は今は、Beamを採掘していますが、価格が下落した場合や電気代が変わった場合は、GPUの採掘者は他のコインに切り替えることができます。

人々は、十分なROIの可能性がある場合にのみASICの構築を開始します。そのためには、時価総額を大きくし、価格を安定させるか、または成長させる必要があります。 ASICを購入するマイナーは非常に忠実であり、他にどのようなコインが出回っていようとも稼働させ続けます。

Beamはロードマップ上でコンプライアント・ウォレットについて言及しています。このウォレットにはどのような機能が実装されますか?

AZ:このウォレットによって、ユーザーは文書をトランザクションに添付し、特別な監査キーを用いて暗号化することができるようになります。

このウォレットは、規制を遵守し、監査ルートを残したいビジネスユーザーをターゲットにします。このウォレットは決してあなたのプライバシーを毀損しません。完全なプライバシーを必要とする一般ユーザーのための標準ウォレットは当然用意しますが、規制の遵守を望むユーザーのためには、トランザクションごとに、情報または文書を取引相手に要求して、取引相手がその提供を望む場合のみにトランザクションを完了することができる多機能なコンプライアントウォレットを用意します。

我々は協働可能性があるKYC企業と話をしています。正確な機能セットを特定し、今後2、3ヶ月の間にPOCの実施を計画しています。その内容は、かなり基本的なものになるでしょう。そのPOCでは、利用者がトランザクションにいくつかの意味のある情報を添付することができ、トランザクションが完了する前に双方で合意することができることを我々は示すでしょう。将来的には、あらゆるユースケースと複数のトランザクションタイプをサポートするエンタープライズ向けの製品が提供される予定です。

Beamの資金調達モデルに関して教えてください。これは、ブロックチェーン企業が踏襲すべき新しいモデルになると思いますか?


AZ:私は、これが新しいモデルになることを願っています。Beamのモデルは以下の通りです。私たちは投資家から資金を調達し、ブロックチェーンの運営の最初の5年間で、採掘されたすべてのコインの20%はTreasury(基金)と呼ばれる機関に配布されます。その基金からコインが、投資家、コアチーム、そして現在設立中のBeam Foundationに毎月配布されます。

なぜこのモデルがいいのか?と考えるといくつかの理由を挙げることができます。まず、我々の投資家はすべて適格投資家です(主にベンチャーキャピタルファンド)。これらの人々は知識が豊富で、彼ら自身で調査と研究を行います。私たちは非適格な投資家に販売するICOモデルは採用しませんでした。私達の誠実さ(Integrity)は、私達にとって非常に重要であり、私達は私達自身について、投資家に不正確に伝えたことはありません。彼らは(スタートアップに投資することによって)明らかにリスクを負っています。しかし、それは計算されたリスクです。彼らは彼ら自身で調べる能力があります。

もう1つの良い点は、誰そもが5年間のトークン発行スケジュールに従っていることです。そのため、ローンチ直後に特定の1人が大量のトークンを受け取ることはありませんでした。トークンは毎月発行されるので、ある投資家が例えば基金の1%を受け取った場合、毎月、採掘されたすべてのコインの0.2%を受け取ることになりますが、それはさほど大きくありません。

我々の利害はチーム、投資家、アドバイザー、そしてfoundationの間で調整されます。その誰もが長期間、その輪の中にいます。みんなの利害が一致しているので、私たちのモデルはICOモデルより優れていると思います。

関連リンク集:
公式ウェブサイト:https://www.beam.mw/
日本語Twitter:https://twitter.com/beamJapan
Alex Twitter:https://twitter.com/azaidelson
Beni Twitter:https://twitter.com/beni1977

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