MakerDAO(メーカーダオ)と分散型ステーブルコインDAI | BitPR Deepdiveレポート | DeFi シリーズ

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※このレポートは、英語版BitPRのDeep Dive: MakerDAO, DAI and Decentralized Lendingを日本語にしていますが、一部内容を変更しています。

MakerDAOサマリー

  • MakerDAOは分散型ステーブルコインDAIを開発・管理するプロジェクト。著名VCであるa16zなどが出資しDeFi領域で最大で急成長中のプロジェクト。
  • DAIはプロトコルによってUSドルにソフトペグするよう設計。分散性と価格の安定性からブロックチェーン上で、価値の交換やレンディングでの利用手段として人気。
  • DAIは分散型ステーブルコインとして、他の暗号通貨との交換や、リスクヘッジ、店舗決済や国際送金、貯蓄など幅広いユースケースが存在。
  • MakerDAOは、CDP (Collateralized Debt Positions = 担保付債務ポジション) と呼ばれる仕組みを採用。利用者はスマートコントラクトに担保資産をETHで差入れることでCDPを生成。そのCDPを担保にローン(融資)を組成して、DAIを引出すことができる。DAIを返済し手数料を支払うことで担保にしていたETHを取り出し可能。
  • MakerにはネイティブトークンとしてMKRトークンが存在。CDPが返済される際にローンに対する利息・手数料の支払手段として利用。
  • また、MKRトークンはMakerDAOの機能やパラメーター等を決める投票に際して、保有者の投票権を表示。主目的はDAIの安定化を目指すガバナンスの発揮。
  • Over-Collateralization (超過担保) というコンセプトがDAIの安定性確保において重要。原則として各ローンで150%の担保資産をETHで差入れる事を借り手に要求。

MakerDAOの紹介

MMRとDAI

MakerDAOはステーブルコインDAIを管理する自律分散型組織(DAO)です。Makerのエコシステムには2つのトークンが存在しています。

それは、ガバナンストークンであるMaker (MKR)トークン分散型ステーブルコインであるDAIです。

MakerDAOは人々が、Collateralized Debt Positions (担保付債務ポジション = CDP) と呼ばれるシステムを通じて、分散型ステーブルコインDAIを手に入れる(借り入れる)事を可能にします。その際、Makerのシステムは借り手が、一定のEthereum(ETH)をローンに対する担保資産として差入れることを要求します。Makerのシステムを司るスマートコントラクトが、このEthereum (ETH) をコントラクト内で担保資産としてロックアップし、借り手がDAIを返済した際に返却されます。

CDPにロックされたETHはラップされ ( =wrapped、表記はWETHもしくはWrapped ETH) ERC20規格に対応したトレード可能な資産にします。
このWETHは、MakerのPooled Ether (PETH)に集約されます。これは、Makerに担保としてロックされている、すべてのETHのプールです。

借り手は、この借入れたDAIを、制限なく暗号通貨トレードやヘッジ、送金などあらゆる方法で利用することができます。

しかし、ここで注意が必要なのは、常にCDPが借り入れたDAIの150%以上の価値を確保していることです。これを下回ることで、資産が没収されるリスクが生じます。

現時点では、Makerは差入可能な担保資産としてETHのみサポートしていますが、近い将来、複数の資産での担保差入や、ETH以外の暗号通貨やアセットトークンでの担保形成を可能にすることを検討しています。

DAIとは

DAIはUSドルに価格が安定する様に設計された分散型のステーブルコインです。つまり、DAIの単価は1ドル(ソフトペグ)です。価値は変動しながらも、常に1ドルに近似するようなメカニズムがデザインされています。

DAIとテザー(USDT/US Tether)の重要な違いは、どちらもステーブルコインではありますが、DAIは分散型で、テザーはそうではないことです。テザーは、価値の裏付けとなる準備金をUSドルで、管理企業の銀行口座に預託することで、伝統的な銀行のシステムに依存しています。もし、同社がその銀行口座にアクセスできなくなったり、準備金の積立不足が生じた場合、テザーのドルペッグは失われる可能性があります。DAIはこのようなリスクを負わないよう、分散型でトラストレスになるようデザインされていますが、依然として目標価格である1ドルから乖離するリスクが存在します。

CDP (担保付債務ポジション) の仕組み

CDPは、貸出されるDAIを生成するために必要です。ユーザーは、借入を希望するDAIの数量に応じて、どれだけの数量のETHをCDPにロックアップするか決定します。

借入を終了する際には、ユーザーは借入したDAIを返却する以外に、「Stability Fee(安定化手数料)」MKRトークンで支払います。

この安定化手数料は執筆時点で3.5%ですが、すぐに7.5%に引上げられる模様(翻訳者注:現在約11%への引き上げ提案が検討されています。)です。この手数料の引上げは、コストを引き上げる需要減で市場のDAIの流通量を減らし、DAIの価格を1ドルに近づけようとする狙いがあります。この検討の背景には、2019年の2月以降、DAIが需要過多の傾向にあり、DAIの市場価格が1ドルという目標価格を継続的に下回っている事実があります。0.95ドル付近でトレードされることもありました。

DAIの返済時に手数料の支払に用いられたMKRトークンはバーン(償却)され、流通量から除去されます。この減少分は、MKRトークンの価格の向上、または維持に寄与します。

Makerのもう一つの重要なコンセプトとして「超過担保(Over-Collateralization)」がDAIの価格安定化に深く関与しています。現行ルールとして、ロックアップされる担保の価値は、貸出されるDAIの価値の150%以上でなければなりません。例えば、100ドルに相当するDAIを生成する場合、150ドルに相当するETHが担保資産化される必要があります。これは、結果的にLTV(Loan-to-Value)が67%になる事を意味します。担保資産は、安定化手数料と貸出されたDAIの全額が返却されるまでCDPの中に残存します。

ETHが担保資産としてロックされ次第、借り手は生成したDAIを、自分のアドレスで保有する事ができるようになります。
(繰り返しになりますが)担保としてロックアップされたETHを取り戻すには、DAIの返済と安定化手数料を支払う必要があります。

DAIは価格の安定性に加え、ユーザーに貸出され、流通することを目的としたトークンであるのに対して、MKRトークンはその保有者に対して投票権を与え、投票によって、DAIの価値の安定を維持することを目的としたMakerDAOのガバナンスに関与させます。MakerDAOのエコシステムを理解する上で、2つのトークンの役割と両者の違いを理解することは非常に重要です。

DAIのユースケース

一般的なDAIのユースケースは、より信頼でき、安価で安全で、効率的な暗号通貨によるローンを提供することです。伝統的なローンと異なり、ブロックチェーンとスマートコントラクトの利点によって、仲介者を排除することで、ローンのプロセスをより効率的にし、借り手のコストを引下げます。ステーブルコインとしてのDAIは、ボラティリティ(価格の変動性)が一般的な暗号通貨より小さく、基軸通貨として他の暗号通貨を購入したりトレードする為にも利用できます。その他にも、DAIのユースケースが存在します。以下にいくつか列挙します。

暗号通貨ポジションのレバレッジ・ヘッジ

DAIは本質的にEthereum(ETH)の保有者にとって有用です。例えば、ETHの保有者が、「ETHのポジション(保有量)を増やしたいが、USドルや他の法定通貨を用いたくない」といった状況を想定すると、彼らは「その時点で保有しているETHを担保としてCDPを生成(オープン)し、DAIをローンとして引出し、そのDAIを用いてより多くのETHを購入し、ETHのポジションを増やす」ことができます。ここで行われていることは、本質的には「分散型のレバレッジ取引」です。

また、DAIは暗号通貨のポジションをヘッジする為にも利用できます。これまではテザーがこの役割を担ってきました。例えば、ETHの保有者が、市場のボラティリティが高い時に、一時的に自分のポジションを解消するために、USドルに価値が(ソフト)ペグされたDAIに退避することができます。

DAIによる預金・利息収入の獲得

すでに言及した通り、DAIはUSドルに価値が安定するようにデザインされているので、銀行預金ではなく、分散型のデジタル通貨で価値の保存(貯蓄)を望む場合には、DAIは有望な手段の1つになる可能性があります。人々は分散型のステーブルコインで自分の貯蓄を守る新しい手段を得ます。それは他の変動性のある暗号資産や、悪質なインフレによって価値が毀損していく現地の法定通貨に代替できる信頼できる方法です。

また、MakerDAOは、DAI Savings Rate (DSR)という機能をローンチする予定です。これは、DAIの保有者がDSRのスマートコントラクトにDAIをロックすることで、ロックしたDAIに対して利息を得ることができるようになる機能。この機能は、ETH以外の暗号資産を含む、複数の異なる資産での担保差入機能がローンチされる際に利用可能になる予定です。

為替リスクの心配がない送金とクロスボーダー送金

あなたが友人からお金を借りている状況で、その友人がBTCやETHといった変動性のある暗号通貨でその返済を受けたくない場合に、あなたはDAIで返済を行うことができます。

また、DAIはグローバルな送金手段として使用できます。ステーブルコインとして、DAIは他の暗号通貨で問題になる為替リスクの心配なしに、国際的な商取引での決済を可能にします。アルゼンチン、ベネズエラ、ナイジェリアなど、現地通貨に高いインフレ率が発生している国では、これは特に有用です。 DAIは、価格の変動性を心配することなく、暗号通貨の特性を活かして、迅速なクロスボーダー送金を提供します。

大きな発展の可能性はありながらも、現在のDAIの債務限度額は1億ドルで、これがシステム内で生成できるローン額の上限としています。これはとても小さい金額で、単一の商業銀行でもこの金額をはるかに超える量のローンを実行できるため、この制限はDAIのモデルのスケーラビリティに影響を与える可能性があります。 CoinMarketCapによると、DAIの現在の時価総額は8600万ドルを超え、すでに8800万トークンが生成されています。

DAIの入手方法

Source: Gregory DiPrisco, Plain Explanation of the DAI stablecoin.

DAIを入するための「公式の」方法はCDPをオープンすることです。ユーザーはまずCDPをオープンし、次にDAIでローンを受けます。

  1. DAIの借入金額とETHの担保数量を決定
  2. CDPをオープン。ウォレットから差入れたETHはCDPがロック
  3. CDPをオープンし、DAIが生成される。このDAIは速やかに市場流通可能に
  4. DAIを返済する。この際にMKRトークンで安定化手数料を支払。※ MKRトークンは、Coinbaseなどの取引所で入手可能
  5. 返済によってCDPがクローズ、手数料の支払いに使用されたMKRトークンはバーンされる
  6. 担保としてロックされていたETHが借り手のウォレットに返還

ユーザーはMakerDAOのウェブサイトにアクセスし、「プロダクト」>>「CDPポータル」に遷移することで開始できます。
CDPポータルは、ローンの生成、および返済、そしてローンの清算条件を含む継続的なCDP管理を通じてユーザーをガイドします。

また、以下の方法によってもDAIを入手することもできます。

  • 個人的に入手:あなたはDAIを支払手段またはギフトとして誰から出も受け取ることができます
  • 取引所で入手:ブロックチェーン分析サービスのBeneathによる調査では、集権型取引所よりも分散型取引所が、DAIを取得する方法として一般的であることがわかりました。 KyberやOasisDEXなどの取引所は、DAIを入手するための人気のある取引所です。

DAIに関連するリスク

DAIのローンに関するリスク

他のローンと同じ様に担保の積立不足と返済不能に陥ることで、あなたの資金が没収のリスクに晒されます。

現在、DAIのCDPは150%の担保率の維持を要求します。もし、CDPがこの水準を下回ると、CDPは自動的に清算され、これは借り手が担保資産であるETHを失うことを意味します。CDPが150%の担保率を下回る、主な理由はETHの価格が大幅に下落することです。担保の没収は、借り手にとって最悪のケースでありますが、実際には、より多くのETHをCDPにロックし担保率を高く維持することで、この価格下落イベントによって生じるリスクに対処することができます。

また、借り手は保有するすべての資産(ETHに限らず)を担保に設定しないよう留意する必要があります。これは、DAIの返済に充当する資金を確保する必要があるからです。

CDPポータルは清算価格や返済に関する情報を確認することができるサイトです。
借り手は自ら借入金額と担保設定を計算する必要がありますが、MakerDAOの
RedditのFAQでは、これらの計算に役立つ公式を入手するのに役立つ有用な情報源です。

DAIのUSDペグに関するリスク

DAI 30-day price. Source: https://dai.stablecoin.science/

DAIはUSドルにソフトペグされるようデザインされていますが、実際には2019年においては頻繁に1ドル以下で取引されています。執筆時点では0.97ドルでトレードされています。このペグの崩壊はDAIをUSドルの代替、または価値の保存手段として考える、DAIの保有者にとっての大きなリスクです。現在、Makerは安定化手数料を引き上げることで、ペグ価格に戻るよう調整を図ろうとしていますが、これによってこの乖離の問題が解決されるかは定かではありません。

MKRトークン

MKRはMakerのネイティブトークンです。ERC20規格に準拠しています。MKRはDAIのシステムにおけるガバナンスが発揮するようにデザインされ、システムが健全性を確保し、機能することで生み出されるバリューを蓄積するタイプのトークンです。MKRトークンは、DAIのローンに関する手数料の支払手段として用いられ、支払時にバーンされます。

ガバナンスの観点では、MKRトークンはMKRの機能や手数料率などのパラメーター調整の意思決定に際して、MKRトークン保有者に投票権を与えます。当然ですが、MakerのガバナンスのターゲットはDAIの価格の安定化です。MKRはまた、DAIが債務超過(つまり担保価値が大きく毀損すること)に陥った際のバックネットとしても役割を果たします。MKRトークンは返済不能に陥ったDAIローンをカバー(市場で再購入しサプライを調整)する為に用いられ、DAIの市場価格がクラッシュすることを防止します。

この際、Makerのシステムは追加のMKRトークンを自動生成し、公開市場で売却し、DAIを再購入します。これが、DAIの価格を下支えするためのリキャピタライゼーションの仕組みです。この再、MKRは追加発行によって希薄化しますが、この言わばペナルティとも言える価格維持の仕組みは、保有者の参加を促し、より良いMakerのガバナンスの実現を後押しします。このようなメカニズムが不在であれば、MKRトークンの保有者は、システムが債務超過の機器に陥れば、トークンを売却して逃げ出すだけでしょう。

Makerのプラットフォームにおいて、各種のパラメーターを含めたガバナンスにおける変数の修正は、「アクティブ・プロポーザル」を通じて行われます。これはMKRの保有者がコミュニティ投票を通じて選択することが出来る、修正提案が記述されたスマートコントラクトです。コミュニティ投票の結果に応じて、採択された修正が自動的に実装されます。

MKRの保有者は、債務上限(単一CDPに設定可能な最大債務)、清算比率、安定化手数料率(PETHに対する利息)などの、さまざまなリスクパラメーターに投票することができます。
また、MakerのシステムはCDPの価値を決定する為に市場価格を参照していますが、MKRの保有者は、価格のデータフィードとして、どのOracleを信頼するかを投票によって選択することができます。 Oracleは、CDPが参照する資産の市場価値について、リアルタイムで情報を提供する者として機能します。

後にも言及しますが、MKRトークンの24時間の取引量は小さく、わずか23万ドルです。これは、MKRが時価総額でトップ30位に位置づけているにも関わらずです。Picolo Researchの分析によると、これは投資家が備えるべきMKRの流動性リスクです。また、市場参加者は、CDPの需要が低下した際に、MKRの価格が減少する可能性にも留意する必要があります。

DAIとMKRの定量的分析

現在のDAIとMKRの状況

  • Delphi Digitalのリサーチによると、MakerDAOは分散型金融(通称:DeFi/Open Finance)のプロジェクトにロックされている資産の90%以上を占めています。
  • 2019年の3月時点で、約200万ETHがCDPにロックされており、8,200のユニークなアドレスがアクティブにDAIを利用しています。
  • MakerDAOは合計で2700万ドルを調達し、直近の資金調達ラウンドでは、1500万ドルを調達しています。

MakerとDAIの利用者増の状況

  • MakerDAOは、月間20%の目を見張る成長率でアクティブユーザーを獲得しており、暗号通貨利用者の中で、急速に支持され始めていることを確認することができます。

その他のMKRとDAIの状況

  • 執筆時点で、MKRは736.28ドルでトレードされ、時価総額は5億2900万ドルです。
  • 9,984のユニークなアドレスがMKRトークンを保有しています。
  • MKRの年間のバーンレートは9,096MKRトークンです。
  • MKRのWETHとPETHの割合は1.04です。現在、2億9400万ドル相当のWETHが存在します。
  • 執筆時点で、システム全体の担保率は334.24%です。これは安全な水準です。

MakerDAOとDAIのチャレンジ

制限されたスケーラビリティ

現在、債務上限として1億ドルが設定されています。執筆時点で、90,342,494 DAIがすでに生成されており、上限の90%に達している事を意味します。CDPは流通するETHの約2%を保持しています。

Makerが、気軽にDAIの債務上限を引き上げると考えることはできません。これは、システムが健全なペースで成長し、機能性を市場に証明できることを、確実にする必要があるです。
更に、MakerDAOとDAIは、安定性を確保できた、または、今後、一切壊滅的なイベント(ブラック・スワン)が発生しない、といったことを証明するのに十分な期間を過ごしていません。

MakerDAOは現在の債務上限を維持することで、DAIに関連するリスクをコントロールすることができる一方で、それはスケーラビリティを犠牲を伴います。このMakerの課題は、ステーブルコイン全体のマーケット状況から伺い知ることも出来ます。DAIの時価総額はわずか8,900万ドルです。一方で、主要なステーブルコインの時価総額の合計は25億ドル付近を推移しています。この市場占有率の小ささはDAIの制限されたスケーラビリティを示しつつも、大きな成長余地を示唆します。

MKRの保有者とそのガバナンスは、継続的にこのスケーラビリティと安定性のトレードオフのジレンマに直面することになるでしょう。

もう1つの潜在的な懸念は、超過債務の元金です。大きなサイズのCDPをオープンし、ローンを受ける為に、すべてのETH保有者が、担保として十分な量のETHを保有しているわけではありません。現在のDeFiのシステムは総じて担保資産の差入をベースにしていますが、分散型信用スコアの開発と導入など、この担保問題の解決なしに、エコシステムの超拡大は見込めないでしょう。

MKRの低い取引量と流動性

MKRの24時間の平均取引量には波がありますが、総じて低い水準で推移しています。これは深刻な流動性とシステムリスクをMKRの保有者にもたらします。
MKRの保有者が抱える流動性のリスクは、ベア・マーケットの深刻化に伴ってよって更に悪化する可能性があります。

本質的に、DAIの安定性と健全性は、予測できない突然のETH価格の下落に伴い、MKRの価格が下落することによって、真の意味で試されることが出来るでしょう。もし、ETHの価格が壊滅的なイベントに伴って下落した場合、MKRの価格も大きく影響を受けるでしょう。現時点では、システムのキャパシティを意図的に引き下げることで、壊滅的なリスクをコントロールしているように見受けられます。

DAIとMakerの将来の展望

真に分散化された金融システムにおける有力なモデル

MKRのガバナンスおよび意思決定システムは、MKRトークン保有者によって制御されることを意図し、真の分散性の獲得を志向しています。 Makerは、主権と経済的自立をユーザーに提供し、金融システムの仲介者を減らし、デジタル時代の融資の民主化を先導したいと考えています。ブロックチェーンへの関心の高まりと金融活動のデジタル化(インターネットバンキングや決済など)のトレンドは、MakerDAOのようなものに人々を引き付ける可能性があります。特に、現存するステーブルコインは発行主体が存在するという点で、トラストレスではなく、DeFiやOpen Financeが志向する、真にトラストレスでオープンな金融エコシステムを確立する為には、DAIのような分散型ステーブルコインが必要だと考えます。

担保設定可能資産の増加と複数資産による担保設定の解禁による拡大


Ethereum以外の暗号通貨でCDPの担保を差入可能にする取り組みはすでに始まっています。今日では、ETHのみがCDPの担保資産として認められていますが、より多くのコインがサポートされれば、裾野が広がり、より多くのユーザーがMakerのエコシステムに参加することができるようになります。より魅力的なプラットフォームになるだけでなく、このオプションは、暗号通貨市場の多くのコインの相互運用性にも多大な影響を与えるでしょう。

MakerDAOの出資者

アメリカのベンチャーキャピタルファンドであるAndreessen Horowitzは、2018年9月にその投資ファンドa16zを通じてMakerDAOに1500万ドルを投資し、MKRトークンの総供給量の6%を取得しました。この投資により、Makerはa16zのチームとコミュニティメンバーによって提供される活動のサポートに加えて、3年間のオペレーションコストをカバーすることができます。 Andreessen Horowitzは以前にDfinityとCoinbaseにも投資しました。

Makerのエコシステムとパートナーシップ

CDPの管理

CDP.MakerDAO

CDP.MakerDAOは、CDPをオープンし、担保を預け、DAIを生成するためのMakerのdApps(分散型アプリケーション)です。

ユーザーは、担保として差入たいETHの数量と、生成したいDAIの数量を入力します。ポータルには、CDPの全体管理が出来るダッシュボードが用意されています。これには、預入、引出、DAIの生成、CDPのクローズ、実行されたトランザクションの履歴の閲覧など、重要な機能が含まれています。ポータルはMetamaskのような、主要なWeb3クライアントと、Ledger Nano SやTrezorのような他のハードウェアウォレットをサポートしています。

InstaDApp

InstaDAppは、銀行取引、融資申込、および融資処理などの機能を単純化することを目的としたMakerDAO上に構築された分散型銀行です。このプラットフォームを通じて、だれでもDAIでCDPを生成および発行することが可能です。 InstaDAppはまた、ユーザーが自分のCDPをウォレットに変える、DAIの削除、CDPへのETHの追加を可能にします。執筆時点で、InstaDAppは307のCDPを保持しており、6,749以上のETHをロックしています。

Bloqboard

Bloqboardは、スマートコントラクトによるP2Pの借入または貸付を可能にする暗号通貨レンディングのプラットフォームです。ユーザーは、Bloqboardを通じてEthereumのブロックチェーン上でローンを作成および管理することができ、これまで150,000ドルを超えるローンが処理されました。

スマートコントラクトによってトークン化された債務の発行を可能にするDharma Protocolを通じて、ERC-20トークンを借入れるローンの要求をしたり、ローンを管理することができます。

DAIとCDPのセカンダリーマーケット

Compound

CompoundはEthereum上に構築された暗号通貨のレンディングプラットフォームであり、Compoundを通じて、ユーザーは他人と直接取引することなく、利息を得たり、暗号資産を貸し出すことができます。現在、ETH、BAT、REP、ZRXの4つの異なる市場が存在します。 MetamaskやCoinbaseなどのWeb3クライアントもサポートしています。

bZx

bZxプロトコルはEthereumブロックチェーン上で実行され、分散的な交換、P2Pのマージンレンディング、空売り、およびERC-20トークンの活用を可能にします。 bZxはまた、貸し手やトレーダー、そして、トークン化されたマージンローンを用いて空売りやレバレッジ取引を可能にするスマートコントラクトを通じて、セカンダリーマーケットとして機能します。これにより、ユーザーはDAIから収益を得ることを可能になります。

Reloanr

Reloanrは、固定金利でDAIを貸借するためのセカンダリーマーケットです。このプログラムの目的は、流動性を高め、DAIを保有するための資本コストを相殺し、DAIの取引決済を容易にすることです。現在、証拠金取引およびERC-20トークンの空売りのためのノンカストディなプロトコルの構築を目指しています。

Nuo

Nuoは、貸し手と借り手を結びつけ、その取引にスマートコントラクトを利用する、Ethereum上の分散型レンディングプラットフォームです。その目的は、貸し手が彼らの暗号資産から利息を得て、より簡単な融資を提供することです。 Nuoはまた、貸付または借入においてWrapped Bitcoin(WBTC)もサポートしています。

ETH Lend

ETHLendは、ERC-20トークン用の安全なP2Pローンを提供することを目的としたEthereumブロックチェーン上の分散型アプリケーションです。プラットフォームを通じて、借り手はローン要求を作成し、貸し手にどのような条件で合意するかを決定させることができます。これらすべての機能は、取引を決済するために仲介者を見つける必要はありません。

cdp.Auction

cdp.AuctionはCDPのセカンダリーマーケットであり、ユーザーは自分が取引したいCDPをリストすることができます。通常、ユーザーがCDPを清算するために課される15%の手数料を回避しようとするときに使用されます。

MakerDAOの競合


MakerDAOのDAIは、成長著しいステーブルコインと暗号通貨レンディングの分野に属します。ここでは、この分野における著名なプレイヤーをいくつか挙げます。

Tether(テザー)

テザーは米ドルペッグのステーブルコインで、最大の時価総額を誇るステーブルコインです(20億ドル)。テザーは、それぞれのUSDTが1USドルの準備金によって裏付けされていると主張しています。

テザーには常にスキャンダルが付き纏っています。それはハッキングによって約3100万ドルの損失が生じたり、テザーがBitcoinの価格操作に使用されたという主張がありました。さらに、テザーが実際に流通する190万ドルのUSDTの価値を裏付けるのに十分なドルを準備ができているかどうかについても常に疑惑がありました。それでも、テザーは市場で最も人気のあるステーブルコインであり、トレーダーが暗号通貨のポジションから退避し、価値を保存するために広く用いられています。

DigixDAO

DigixDAOは、金の延べ棒に価値が裏付けられたステーブルコインを有しています。 1DGXの価格は、およそ1グラムの金です。DigixDAOは、銀、プラチナ、および他の希金属類にペグされたよりステーブルコインをリリースする予定です。 DGXは現在、1日の取引量は少なく、420万ドルという比較的小さな時価総額です。

BlockFi

BlockFiは、暗号資産の所有者に、米ドルの融資を提供する分散型のレンディングプラットフォームです。これまでのところ、これらのローンはBTCまたはETHによって担保を形成することができます。 BlockFiは、暗号資産の流動性に提供し、取引の透明性の確保、および暗号通貨レンディング取引における決済の効率化を目指しています。

MakerDAOのチーム

Rune Christensen

Chief Executive Officer and Co-Founder

Twitter | LinkedIn

Christensenは、以前は国際的なスカウト会社であるTry Chinaの共同設立者でした。彼はコペンハーゲンビジネススクールで国際ビジネスとコペンハーゲン大学で生化学を学びました。

Steven Becker

President and Chief Operating Officer

LinkedIn

Beckerは、オルタナティブ投資のコンサルティング企業のオーナーおよび経営を含む、20年以上の投資経験があります。彼はチャータードオルタナティブ投資アナリスト(CAIA)および公認ファイナンシャルリスクマネージャ(FRM)です。ケープタウン大学で経営科学と金融工学を学びました。

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